文化の根源は、地質と気候
旅が始まる時、少し高いところからその土地を眺めてみたくなる。そして、旅の中で出会いを繰り返し、地域の文化に触れ、そこで暮らす人の話しを聞き、改めて土地を眺めてみると、その土地に降り立ったばかりの時とは違った風景に見えるもの。
東に折爪岳、西に稲庭岳を擁する二戸。山に囲まれた土地に南北に貫流する馬淵川。その水系に沿って集落があり、河川の浸食による河岸段丘上に市街地が形成されている。奥羽山脈の東に位置し、夏にオホーツク海で高気圧が発達すると冷たく湿った東風やませが流れ込み、「冷夏」となることが多い。それゆえ、稲作の適地とは言いがたく、古くから雑穀の生産を盛んに行ったことから雑穀食文化が根付いている。保存食文化にも知恵が重ねられたのは、長く厳しい冬を越えるため。近年では昼夜の寒暖差と雨量の少なさを生かした糖度の高い果物のブランド化に評価が集まっている。
景色には、そうなった理由もあれば、その景色を理由にして起こってきた歴史や文化があるもの。にのへのほんものの背景には、この土地ならではの厳しい自然条件、恵、そして、その条件の中で編み出された人の知恵や研究がある。ぐるりと旅をしてみれば、それらがつながって見えてくるはず。