ほんものにっぽんにのへ

ほんものに出会う旅 3

ROUTE & SPOT

浄法寺漆を訪ねる

浄法寺漆を訪ねる
地域で継がれてきた漆の手仕事に触れる。

生活に根付く、暮らしの道具を作り続けて

二戸駅に降り立ち、二戸市街地を背にして似鳥トンネルを抜け、山の向こうへ。浄法寺地区は、古くから稀少な国産漆の主要産地とされ、その漆を掻き、美しい暮らしの道具を作り出す技術が脈々と継がれ、根付く土地。

浄法寺漆にまつわる記録は、縄文遺跡からの出土品に遡る。漆を塗布した日常の道具がすでに多岐にわたるものだった。平安時代には、現在の浄法寺塗の起源とされる「御山御器(おやまごき)」が生まれた。飯椀、汁碗、皿の3つが入れ子になった実用的な器を、古刹天台寺の僧侶たちが日々の食事のためにと自作したのだ。

「浄法寺歴史民俗資料館」を訪ねれば、変わりゆく時代の中で継がれてきた浄法寺漆のある地域の暮らしやその歴史をたどることができる。

今もなお継承される塗師たちの仕事に触れ、浄法寺塗を手に取るなら、「滴生舎」へ。浄法寺の漆の器の魅力、用の美を追究するデザインに出会うことができ、漆器の制作工程や塗師の技を見学できるだけでなく、漆の産地である浄法寺を知ることができる。

さらに足を伸ばして散策すれば、漆の原木が数多く育てられる「漆の森」へ。4000本ほどが植えられ、シーズン中の晴れた日には黙々と漆掻きをする職人たちの姿がある(漆かぶれを避けるため、必要以上に近寄らないこと。特に肌の弱い方は漆の木や葉にも触れないよう十分注意を)。

巡るほど、浄法寺漆のほんものの深さに引き込まれていく旅。市街地への帰路では、「漆染め」を行う「ポトラガーデン」への立ち寄りもおすすめ。

写真:安彦幸枝、tarakusa、二戸市

ほんものに出会う旅 #3「浄法寺漆を訪ねる」でご紹介したスポットリスト

重要文化財にも指定されている浄法寺漆に関する資料を展示し、この地域で育まれてきた漆のある暮らし、その歴史や文化に触れることができる資料館。かつて使われていた「御山御器」をはじめ、漆掻きの道具等が多く展示されている。
住所:岩手県二戸市浄法寺町御山久保35
電話番号:0195-38-3464

浄法寺産の漆を使って塗り上げた「浄法寺塗」を展示販売するショールーム兼工房。日常使いの器や酒器が並ぶ。つくり手のこだわりが感じられる漆の器や塗師の作業を見ることができる。この地域での漆の歴史と現在、漆採取から塗までの工程を知ることで、浄法寺塗の理解を深められる。ワークショップやイベントも定期的に開催。
住所:岩手県二戸市浄法寺町御山中前田23−6
電話番号:0195-38-2511

漆の森 (うるしのもり)

浄法寺エリアの中心部に位置する漆の森。今でもこの森で漆掻き師たちが仕事をし、この地域で採れる漆は、柔らかさ、のび、発色など、品質の高さが評価されている。日光東照宮陽明門や二荒山神社など日本が誇る世界文化遺産の修復にも用いられている。
住所:岩手県二戸市浄法寺町明神沢48-8

漆染めの布小物や、粉砕した漆の木を樹脂で固めたアクセサリーなどの雑貨を製作する工房兼福祉施設。それぞれの原料には、浄法寺漆器に用いられる生漆を採取し終えた漆の原木を活用。漆の原木が入手できる産地ならではの工芸品。制作の様子も見学可。
住所:岩手県二戸市似鳥字沖野60−1
電話番号:0195-26-2363

まだまだあるほんものに出会う旅

美味しいものを辿れば育てる人の姿があり、美しいものを訪ねれば職人の姿がある。
暮らしをのぞけば旬の喜びや冬を楽しむ知恵がある。
旅の風景のなかに、地域ならではの営みを見られるのが二戸の旅の醍醐味。