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ほんものに出会う旅 7

ROUTE & SPOT

奥南部漆物語を旅する

奥南部漆物語を旅する
安比川を辿って深く美しき漆の旅へ。

安比川流域に受け継がれる伝統技術

岩手県の八幡平市から二戸市へと流れる安比川。その流域を含む旧南部藩領北部は民俗学の祖である柳田國男が「奥南部」と称し、川とともにある農の風光を讃えた土地。ここで古くから現代まで継がれてきたのが、木から器をつくり、良質な漆を掻き、漆を大切につかって丈夫で美しい漆器を仕上げる技術です。

安比川の上流域には木地師、中流域には塗師、下流域には漆掻き職人が多く住み、豊富な森林資源を活かしながら、川沿いの集落ごとに分担して地域で一体的な漆器生産を行ってきました。そして、この生業が今は文化として貴重な国産漆の生産を支え、それぞれの地域の漆器は安比塗、浄法寺塗として愛され、日本遺産として世界に誇る宝となっています。

八幡平市から二戸市へと流れる安比川を辿って、風景のなかに今も点在する歴史に想いを馳せ、森をめぐって技を知り、職人を訪ねて情熱に出会う。今昔を渡って紡がれる物語をめぐる旅のルートとスポットを紹介します。

奥南部漆物語WEBサイト
オフィシャル映像
スポットマップ一覧

写真提供:八幡平市、二戸市、奥山淳志

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ほんものに出会う旅 #7「奥南部漆物語を旅する」でご紹介したスポットリスト

安比高原 ブナの二次林 (あっぴこうげん ぶなのにじりん)

昭和初期、漆器の木地や薪、木炭などの資材にするため伐採された後に種子が落下し、自然と育って再び林を形成してできたブナの群生林。地元の人たちは安比高原を「下の牧場」「中の牧場」「奥の牧場」と呼ぶ。
住所:岩手県八幡平市細野

1998年に安代町ふるさと資料館として開館した後、2005年に西根町・松尾村・安代町の3町村の合併を機に、八幡平市博物館として生まれ変わった。常設展では、主に八幡平市内の遺跡から出土した縄文土器などの資料から、木地製作と漆塗りの工程、使用する道具、地域の特色ある漆器を展示。他にも、地域で使われてきた農民具なども数多く展示され、安比川流域で脈々と受け継がれてきた漆文化の歴史や背景、その魅力を紹介している。
住所:岩手県八幡平市叺田230
電話番号:0195-63-1122

八幡平市安代漆工技術研究センターと連携し、卒業生を受け入れるために1999年に開設。ここでは安比塗の伝統を復興、継承するとともに、現代の生活に合った器を新たに生み出し、温もりと丈夫さを併せ持つ漆器だけを安比塗と称し、漆器生産から販売、アフターケアまでを行い、八幡平市安代地区の漆器生産の中心的な役割を担っている。
住所:岩手県八幡平市叺田230−1
電話番号:0195-63-1065

浄法寺漆林 (じょうぼうじうるしばやし)

浄法寺エリアの中心部に位置する漆の森。この地域で採れる漆は、柔らかさ、のび、発色など、品質の高さが評価されており、今でもこの森で漆掻き師たちが仕事をしている。採れた漆は日光東照宮陽明門や二荒山神社など日本が誇る世界文化遺産の修復にも用いられている。
住所:岩手県二戸市浄法寺町明神沢地内

奈良時代創建の伝承を持つ東北有数の古刹。本堂は、黒漆を基調に朱漆を用い、各所に華麗な金の装飾を施した大型の厨子を持つ五間堂で、仁王門とともに江戸時代前期の密教寺院建築として重要視されている。
住所:岩手県二戸市浄法寺町御山久保33
電話番号:0195-38-2500

重要文化財にも指定されている浄法寺漆に関する資料を展示し、この地域で育まれてきた漆のある暮らし、その歴史や文化に触れることができる資料館。かつて使われていた「御山御器」をはじめ、漆掻きの道具等が多く展示されている。
住所:岩手県二戸市浄法寺町御山久保35
電話番号:0195-38-3464

浄法寺産の漆を使って塗り上げた「浄法寺塗」を展示販売するショールーム兼工房。日常使いの器や酒器が並ぶ。つくり手のこだわりが感じられる漆の器や塗師の作業を見ることができる。この地域での漆の歴史と現在、漆採取から塗までの工程を知ることで、浄法寺塗の理解を深められる。ワークショップやイベントも定期的に開催。
住所:岩手県二戸市浄法寺町御山中前田23−6
電話番号:0195-38-2511